『Failed State Why Britain Doesn't Work And How We Fix It』(2025)
著者: Sam Freedman
出版社:Pan
著者は、イギリスの停滞は政治家個人の資質ではなく、積み重なった制度の歪みに原因があると指摘する。中央集権化は外注乱用や自治体間の資金争いを招き、行政を弱体化させた。危機のたびに権力集中と透明性低下が進み、国家の信頼と機能は構造的欠陥によって侵食され続けている。と鋭く指摘している。
『PEAK INJUSTICE: Solving Britain’s Inequality Crisis』(2024)
著者:Danny Dorling
出版社: Policy Press
イギリスでは、医療・教育・福祉といった生活の基盤を支える制度が崩壊寸前にあり、その負担は社会的弱者に集中している。BREXITとCOVID-19の影響を経て、格差と不平等は一層拡大した。本書は、こうした深刻化する不平等の現状を、豊富な統計資料に基づいて鋭く分析している。
『綿の帝国 グーバル資本主義はいかに生まれたか』(2022)
著者:スヴェン・ベッカート
出版社:紀伊國屋書店
著者のベッケルトによれば、「戦争資本主義(war capitalism)」とは、軍事力・奴隷制・植民地主義などの暴力的手段を用いて世界経済を編成した仕組みである。現在の世界の状況をみると、「戦争を契機に資本が再編・蓄積される構造」が存在するのではないだろうか。つまり、暴力による支配が資本拡大を正当化し、再生産されている点で類似しているのかもしれない。
参考:https://book.asahi.com/article/14858367
『総特集 立岩真也 1960-2023』(2023)
出版社:現代思想
社会学者立岩真也の早すぎたの死を追悼する47人によるエッセイ集である。本書は「立岩真也はわたしたちになにを残したのか?そして立岩亡き後、わたしたちはなにができるのだろうか 」と問いかける。
『理性の暴力――日本社会の病理学』叢書 魂の脱植民地化5
(2014)
著者:古賀徹
出版社:青灯社
本書の問題意識は、あらゆるものが理性化されいるにもかかわらず、なぜか反復的な暴力が生まれるということです。そのよう社会状況としてハンセン病・水俣・原発などの問題があると筆者は分析しています。筆者は哲学・倫理研究者で、理性と暴力を探求するにあたり、「理性の腐食に向き合う試みは、解体する主体、つまりそれを試みる私それ自身を切り刻むことであり、自らの健全性の確信を犠牲に捧げることである。」(同書,p.27 )と記しています。
『統治不能社会――権威主義的ネオリベラル主義の系譜学』(2022)
著者:グレゴワール・シャマユー
出版社:明石書店
本書の特色は、 マルクス、ハイエク 、ポランニーなどの理論と新自由主義に親和性のある企業組織論を接続させ、フーコーの統治理論の観点から新自由主義を考察していることです。市民は顧客へと変換され「自己統治」が進むことは、新自由主義の「統治手法」に起因しているといえるでしょう。
参考: https://book.asahi.com/jinbun/article/14629981
『加速する社会 近代における時間構造の変容』(2020)
著者:ハルトムート・ローザ
出版社:福村出版
522ページの大作です。バウマン、ギデンズ、ベック、ラッシュなどのリキッドモダニティ・再帰的近代化論をふまえた集大成であるといえるでしょう。「私たちは時間がない。あれんばかりに勝ち取っているのに」という問題提起は核心をついています。
参考:https://book.asahi.com/article/14714963